はちみつ本に見る甘露蜜の情報です。

 

 

 

 

崎谷博征、有馬ようこ『ハチミツ自然療法の最前線』(秀和システム、2021

 

ネットで見つけました。上記タイトルの横に「ポスト総ワクチン接種時代の処方箋」と書いてあり、興味をひかれたので早速購入したところ、甘露蜂蜜についても記載がありました。以下、249250頁の転載です。

 

ハニーデューは、ハチが樹木の蜜(カメムシやアブラムシの集めた分泌液)を集めてできたハチミツです。フォレストハニーと呼ばれることもあります。このハチミツの最大の特徴は、蜜自体を花からから集めるのではなく、虫たちが集めた樹木の蜜から集めるので、ハチミツは花粉が含まれないことです。

花粉には、ファイトイソプラストンというオメガ3の過酸化脂質が入っており、糖のエネルギー代謝が低下している場合は、アレルゲンとなり得ます。そのため、花粉症等のアレルギーがある人や糖のエネルギー代謝が低下している人には、ハニーデュー・ハニーがお勧めです。

 ハニーデュー・ハニーはフローラルハニーと比べその効用は引けをとりませんが、フローラルハニーと比べて劣る点があるとすれば、糖質全体とくにフルクトースとグルコースの量が少ない事です。また、オリゴ糖が比較的多いことから、腸のダメージであるリーキーガットがある場合は小腸内でバクテリアが増殖しそこから生じる毒素によって、結果として炎症に繋がりかねません。リーキーガットの問題を抱えている場合や、ステロイド摂取の薬歴が長い方の積極的な摂取は控えることが望ましいでしょう。 

 

 

上記のように、体質による、甘露蜂蜜のメリット・デメリットが記載されていました。いづれにしましても、今後、甘露蜂蜜を含むハチミツ全体の可能性に益々注目が集まりそうですね。 (勝田桂子)

 

 

 

2010年代頃から“甘露蜜”は「養蜂・ミツバチ書」のテーマから消費者が先導する「はちみつ本」のテーマとなったといえます。

 

農山漁村文化協会編『地域食材大百科第13巻』(農山漁村文化協会、2014

339465頁が「はちみつ」です。

 

444頁に次のように記述されています。

 

“甘露蜜:針葉樹は、蜜を出す花を咲かせないが、ある種のアブラムシが寄生・吸汁して、甘い蜜(甘露)を外分泌し、ミツバチはこれを集めて花蜜と同様に処理し、はちみつとして蓄える。これを甘露蜜(Honeydew honey)と称する。日本では市場に流通するのは稀であるが、「森の蜜」として紹介されることがある。”

 

 

 

前田京子『ひとさじのはちみつー自然がくれた家庭医薬品の知恵』(マガジンハウス、2015)

 

口絵に「南島原生林の甘露蜜」の商品写真。“特有有効成分特定の研究が進められている”とのコメント。

 

37頁には甘露はちみつ(honeydew honey)の説明として、“小さな昆虫が樹液を吸って露(dew)のように分泌する甘い体液をミツバチが集めたもので、酵素の働きにより抗酸化作用の非常に高い、濃厚な味わいの蜜となる。近年、医療用はちみつとしての効果が注目され研究が進んでいる。ヨーロッパでは昔から人気がある。”との注釈がある。本書はいわゆる「はちみつ本」の先駆けとなったベストセラー書。続編に『はちみつ日和』(マガジンハウス、2017)がある。

 

 

 

ムック編集部『 Dr.クロワッサン特別編集はちみつが健康と美容に効く!』(マガジンハウス、2016) (情報提供=真貝理香) 

 

11頁に「はちみつの種類」のひとつとして、“ハニーデュー(甘露みつ)花や樹木からではなく、樹液を吸った虫から糖をもらってミツバチが作る。世界でも珍しいはちみつ。”と紹介されています。

13頁にはお皿に入れた甘露蜜の色写真と次のような説明が載っています。“ハニーデュー(甘露みつ) 色は濃いめだが花粉を含まないもので結晶がみられないものもある。味は旨みの宝庫。”

51頁にも、お皿に入れた甘露蜜の写真が掲載されていて、“ハニーデュー(甘露みつ)”とあります。

 

5253頁が「古くて新しいメデイカルハニーの世界を知る。」で、5455頁が「マヌカとハニーデュー、その実力とは?」です。海外の“ハニーデュー(甘露みつ)”の商品写真も掲載されています。

 

 

 

 

木村幸子『毎日が幸せになるーはちみつ生活』(主婦の友インフォス、2017

 

13頁の「ハチミツにもいろいろあります!」の項に“樹液や樹液を吸った昆虫が分泌する糖分(シロップ)をミツバチが採集したものが「甘露蜜」。”との紹介文あり。

19頁に甘露蜜の商品写真と“もみの木やマツの木などの樹液を吸った昆虫が分泌する糖分をミツバチが採集して熟成させたはちみつ。ミネラルが豊富で色が濃く、濃厚な風味、独特の苦みと渋みが特徴です。”とのコメント。

 

87頁には囲みで「マヌカハニーと甘露蜜」についての記述があります。

 

 

 

前田京子『はちみつ日和―花とミツバチと太陽がくれた薬』(マガジンハウス、2017

 

8283頁に「甘露蜜(honeydew honey)」に関する記述あります。

“フランスやドイツでは、「森のはちみつ」と呼ばれることもある、色の濃い、風味も濃厚なはちみつだ。一般のはちみつのように花蜜から出来るものではなく、樹木につく小さな昆虫たちが樹液を吸ってからだから分泌した甘い液(これが一面、朝露のように見えることから「甘露(=ハニー・デユー)」と呼ばれる)を、ミツバチが集めてはちみつにしたものだ。「虫の体液?」とギョッとしてしまう人が多いので「森のはちみつ」などとオブラートに包んで美しく呼んできたのかもしれない・・・・・・。(中略)日本やアメリカでは、たぶん色が濃いからそばや栗のように敬遠され気味だったのかもしれないが、今後、もっと活用されるようになるといいなと思っている。”

 

引用で中略した本文には甘露蜜の効用に関する記述等があります。

 

 

 

 

「甘露蜜」が登場しない、残念な、ハチミツ愛にあふれた、すばらしい「はちみつ本」

清水美智子『はちみつーキレイをつくる74の魔法』(青春出版、2004

書籍編集部『 Dr.クロワッサン ハチミツ美のレシピ70 毎日きれいになる!』(マガジンハウス、2005

清水美智子『薬いらずのはちみつ生活』(青春出版、2016

若山曜子『はちみつスイーツ』(家の光協会、2017

マキノ出版企画編集部『魔法のハチミツ』(マキノ出版、2020

 

 

 

 

はちみつとチーズは組み合わせがすばらしいのに、残念な本

小田忠信・吉田菊次郎『はちみつとチーズ読本』(朝文社、2013

 

9頁に「はちみつとは」の囲みがあり、“植物の花の花粉、植物の生組織上からの分泌物、または植物の生組織上で植物の汁液を吸う昆虫が排出する物質からミツバチがつくり出す天然の甘味物質。”との説明文があります。

“植物の花の花粉”は表記が??? “植物の花の花粉”がはちみつのもとというのも???です。 CODEXの世界規格の「はちみつとは」を多少言い換えた記述と思われますので、“植物の花の花粉”は、正しくは“植物の花蜜”でしょうね。著者も編集担当者も校正時に気が付かなかったということでしょうか??? 「はちみつ本」なのに、こんな致命的な間違いのまま出版してしまって大丈夫だったのでしょうか???

 

本書の「はちみつとは」に“甘露”という語は出てきませんが、そのあとの説明はCODEXに準じて、花外蜜腺蜜と甘露のことを指していると思われます。

 

 

 

 

甘露蜜の効用に関する論文

(情報提供=真貝理香)

 

Claudia Cimpoiu他(2013)Determination of the floral origin of some Romanian honeys on the basis of physical and biochemical properties(物理的および生化学的特性に基づく、ルーマニア産ハチミツの蜜源植物の測定」 雑誌「Spectrochimica Acta Part A100149–154ページ

 

論文要旨に、分析サンプルとして使用したのは6種類のはちみつの26商品で、6種類とはアカシア、ヒマワリ、森(forest)、ポリフローラル(百花蜜)、ライム、シーバックソーンであると記述されています。2番目のが甘露蜜のことですね。森のはちみつは抗酸化活性が最も高く、アカシアはちみつの抗酸化活性が最も低かったと記述されています。

本文のなかでは細かな試験データが紹介されていて森のはちみつが抗酸化活性が最も高いことが論証されています。森のはちみつの色が一番濃いという記述もあります。

 

物理的および生化学的特性に基づくいくつかのルーマニアの蜂蜜の花の起源の決定-ScienceDirect

 

 

 

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